嫌な経験は二度とごめんだけど、貴重なのは確か。
こどもがまだ小さかったとき、ヤクザのような上司にいわれた。
「こどもがいないと思って働け。少なくとも7時ー10時だ。9時5時なら無給だ。」
は?
あまりに理不尽すぎて、すぐに腹がくくれて答えが出た。
もちろん答えはNO
それまでは恐ろしいと感じていた大きな力だったけれど、
全く恐怖はなかった。
それまでの私はおかしいと思ってもはっきりと異議を唱えることはなかった。
自分が我慢すればいいと思っていたから。
でも自分ではなく、こどもが不利益を被るとなれば別。
我が身を省みない不思議な力が出てくるみたい。
あんなことはできれば繰り返したくないけれど、
あの経験のおかげで、妙な自信はついてしまった。
どんな嫌なことがあってもあれよりはまし、とか
どんな手強そうな相手でもあれよりはまし、とか。
簡単にいうと戦うことに対して臆することがなくなった。
自分に面倒だとかいろいろ言い訳して事なきを得ようとするアレだ。
もちろんいつだって戦う訳じゃない。
感情にまかせて何でもかみついてたら体が持たない。
必要に応じて。
必要なときにしっかりと調べたうえで、正しいと確信することはきちんと主張する。
これに対する心のハードルは以前より低くなった。
楽しくもないし、決して楽ではないけどね。
そう思うと、あの経験がとても貴重にすら思えてくる。
私を強くしてくれたあの嫌な経験に感謝だ。