トランプ政権はなぜ支持されるか?『ポピュリズムとは何か?』から考える
今、トランプ政権を始め、民主化先進国と言える欧米でポピュリズムが広がりを見せている。
トランプ氏が支持されているのは、
格差拡大のせいなんだろうけど、
わかるようでわからない。
差別発言をしたり、入国禁止令を出したり、とても民主的とは言えない。
アメリカの民主主義や自由は失われてしまうの?
この状況を理解するにはポピュリズムの理解が必要だ。
そもそもポピュリズムってなんぞや?
これもわかっているようで、
わからない。
ということで、
『ポピュリズムとは何か?』ー水島治郎
という本を手にとった。
ポピュリズムの持つその排外的な姿勢から、私はポピュリズムは民主主義の敵だと思っていた。
しかし、ポピュリズムの特徴を知ると、むしろ民主的だと感じた。
ポピュリズムの4つの特徴
①「普通の人々」には「健全な人間理解」が備わっており、腐敗したエリート層の発想に勝る。その「健全な人間理解」を「ストレートに政治に反映させ」る。この「普通の人々」は一体的で、民意や特徴が同質であることを前提としているため、排外的な発想につながる。
②政治、経済、社会、文化において一握りの人々が支配を固めていることを前提とし、人民の「健全な意思」を無視する「腐敗したエリート」の支配を批判する。
③既成の政治に「民衆の声」をぶつけるカリスマリーダーがいる。
④具体的なイディオロギーがない。
核心部分は①②で
”政府を人民の手に戻す。なぜなら、政府はまさにその「普通の人々」に由来する存在だから。”
というのがポピュリズムだ。
これを見るとポピュリズムに共感すら覚える。
ポピュリズムの効果
ポピュリズムの出現で
危機感を感じた既成政治の改革を促したり、
人々が政治に関心を持つようになったり
よい効果もあるようだ。
ポピュリズムの起源は?
ポピュリズムの起源は19世紀末のアメリカにあるという。格差拡大を背景に人民に依拠してエリート支配を批判する運動が起こった。これがポピュリズムと呼ばれるようになった。そもそもは人民の「解放」とか「救済」志向のあるもの。
ただどうしても腑に落ちないのがなぜポピュリズムが移民排斥とつながるのか?という点。
2つのポピュリズム
実は現代のポピュリズムは2つのタイプがあるという。
①労働者や貧困者がエリートを批判すべき特権層とみなし、圧倒的な格差社会で政治に適正な分配を求めるもの。
②再分配で保護された生活保護受給者や難民、移民を批判すべき特権層とみなし、排除しよう、引きずり下ろそうとするもの。
欧米のポピュリズムはこの②に当たる。
格差拡大を背景としてトランプ政権による入国規制は支持(49%)が不支持(41%)を上まっているというのもうなづける。
日本でも格差拡大を背景にここ数年、在日の人に対するヘイトスピーチやより弱い立場にある沖縄や福島の人に対するイジメが増えている。人は自分が絶対的優位にいて、自分の立場が脅かされないときには悪口を言ったり、排除しようとしたりしないもの。日本にもポピュリズムは広がりつつあるのかもしれない。
トランプ氏の登場やヨーロッパでのポピュリズムの広がりは人ごとではないと感じた。
ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書)
- 作者: 水島治郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/12/19
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トランプ大統領の米入国規制への反発について日本の場合はどうか?を考えてみた。
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